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TOEICが大学入学共通テストから撤退を発表~その理由と影響は~

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7月2日に英語能力テストである「TOEIC」を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が、2020年度(2021年度入試)から始まる大学入学共通テストでの英語民間試験への参加申し込みを取り下げたと報じられました。

普段目にするニュースの中では少し地味ですが、教育業界やこれから大学受験を頑張っていこうとする高校生にとっては、非常に大きなニュースとなりました。

目次

TOEICが大学入学共通テストから撤退した理由とは

IIBCは、「受験申し込みから実施運営、結果提供までの処理が想定していたより複雑で、責任をもって対応を進めることが困難だと判断した」と説明しています。

また、「大学入試センターから示された課題を全て解決する方法を見いだせなかった」とも答えています。

TOEICは、2018年3月に大学入学共通テストへの参加が認定され、この時点では、民間試験の初回の受験期間は2020年4月~12月と示されましたが、受験後の成績提供に至るスケジュールなどは未定とされていました。

出典:日本経済新聞「TOEIC、大学入学共通テストの参加取り下げ」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46877060S9A700C1CC1000/

その後、2018年12月に、大学受験の種類に合わせて、段階的に成績を提供する方針が示されましたが、TOEICのシステムでは、一部の学生の用途に合わせて早めに成績の提供を行うことが困難だったようです。

このIIBCは、日本でのTOEICを扱う機関で、TOEICは試験日程を他国と共通に設定するなど、日本以外の影響を与える今回の制度設計については、IIBCの一存で決定することができなかったことも関係しているようです。

TOEICだけが抱える問題とは

TOEIC以外にも大学入学共通テストに参加する英語民間試験があり、合計で8試験が認定をされていました。

その中でTOEICだけが、

「聞く・読む」(L&R)と「話す・書く」(S&W)の試験を別々に実施しています。

それぞれの試験は申し込みも別で、試験日や結果提供の時期も異なっていました。

しかし、大学入学共通テストでは、これらの4つの技能を『1回で評価する』としており、二つの試験日程を近づけるなどの一体的な運用が求められていました。

また、IIBCは、

『2つの試験の成績を足して大学入試センターに提供ができれば問題ないと考えていた』

それに対して大学入試センター側は、

『当初から2つの試験の一体的な運用を求めていた』

と意見が食い違う一面もあったようです

出典:日本経済新聞「TOEIC、大学入学共通テストの参加取り下げ」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46877060S9A700C1CC1000/

TOEIC離脱による受験生への影響は

事前調査(文科省が2018年に全国の高校1年生に行った)によると、全体の約2%がTOEICを受験する回答したようで、これだけを見ると少数派のように感じます。

しかし、人数で計算すると1万人程度がいることになり、また、この間TOEICの点数を大学入学共通テストに利用しようとしていた学生にとっては、勉強方法も少なからず変える必要があります。

英語民間試験導入にあたっては、語学を専門とする大学教授らが、「各試験の測ろうとする英語力は異なるため、目的が異なる試験同士を比べるべきではない」という主旨で請願書を提出しています。

たろう

各試験は受験料がかかり、地域によっても実施回数や会場に差がでることについても懸念されていました。

大学入学共通テストの運用方針の修正について

文科省は、TOEICの参加取りやめをうけ、大学入学共通テストの運用方針を修正しました。

この指針は離島や離れた地に住む場合は、高校2年生で受けた英語民間試験の成績が優秀であれば、翌年度に受けた結果として代用できると規定していました。

これに追加する形で、既にTOEICを受験した受験生がいる可能性を踏まえて、2020年3月までの試験結果を認める方針です。

*大学入学共通テストの詳細についてはこちら↓↓↓

他の英語民間団体の撤退の可能性は

文科省によると、他の6団体(7種類)については、現時点で離脱の予定はないとしています。

英検を実施する日本英語検定協会は「受験生の将来に関わるという責任を認識し、準備を進めている」

GTECを運営するベネッセコーポレーションは「従来の方針に変わりはない」とコメントをしています。

大学入学共通テストの実施が来年度に迫り、英語民間試験の導入は大きな目玉となっている以上、他の団体が追随して参加を取りやめるということは考えてにくいと推測できます。

今回のTOEICの徹底も従来実施している試験を大きく変更する必要があり、その対応ができなかったためです。

他の試験については、TOEICほど大きな変更を行う必要がないことを考えると、今後の撤退可能性は低いように思えます。

たろう

英語民間試験の導入については、実施までに詳細が詰め切れていないことや、そもそもの導入に対する反対もあることを考えると、実施初年度については、少なからず混乱が生じることが予測されます。

まとめ

今回のTOEIC撤退はこれから大学入学共通テストを受ける受験生からすると非常に不安になったと思います。

試験方式が変わることで、勉強方法を変えなくてはならなくなり、当日の試験でまったく想定外の問題がでてくる可能性も拭えません。

それに加えて、受けるはずだった試験がなくなってしまうとなると、さらに混乱を招いてしまうかもしれません。

ただ、その他の試験については、現状継続の意思があるようなので、TOEICを受ける予定だった方は、気持ちを切り替えて別の試験への変更をした方が良いでしょう。

英語民間試験については、大学入学共通テストだけでなく、各大学の英語4技能入試についても適用があります。

*各大学の4技能入試の詳細についてはこちら↓↓↓

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