文科省は、学業に秀でた海外の高校を卒業した学生などを対象に、日本の大学に入学する際に求めてきた「18歳以上」という年齢要件を緩和する方針であることを発表しました。
留学生や帰国子女を増やし、大学の国際化を推進するのが目的のようです。
今後、改正の手続きを進めるとのことです。
たまに聞くことがあるかもしれませんが、いわゆる「飛び級」に関する受け入れ要件の緩和になりますが、今回の緩和とこれまでのルールを整理しようと思います。
今回緩和されるのはどの資格?
今回の発表により、「18歳以上」の年齢要件が撤廃される予定なのが、
海外の高校や国内のインターナショナルスクール修了者、国際バカロレア(IB)等の国際的な大学入学資格を取得した学生
が想定されています。
また、アメリカの「WASC」のような教育機関を評価している団体から認定を受けた学校の卒業者も対象としているようです。
年齢緩和の目的は?
今回緩和される対象となった学生の中には、成績が非常に優秀で18歳未満でも日本の高校を卒業するに相当する教育を修了する場合があります。
文科省は柔軟な制度を設計することで
国際バカロレアとは?
国際バカロレアとは、1968年にスイスで設立された国際バカロレア機構が認定する教育プログラムのことです。
この教育プログラムは、国際バカロレアが認定した、小学校~高校のみが提供できるものです。
文科省のホームページによると、国際バカロレアの認定を受けている学校は、平成29年6月1日現在で、世界140か国以上の国、地域において、4846校にも及び、日本における学校教育法に規定されている学校は20校で、それ以外の学校が26校あります。
詳しくは、文科省のホームページをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1307999.htm
この国際バカロレアに認定された学校を卒業(試験に合格)すると、認定証書が貰えます。
この認定証書は世界でも通用する資格となり、自らの能力を証明する資格として活用されています。
日本の大学でも、国際バカロレアを入試に活用する大学が増えています。
国立大学
東北大学・筑波大学・東京大学・お茶の水女子大学・大阪大学・広島大学
公立大学
国際教養大学・横浜一律大学
私立大学
慶応義塾大学・上智大学・法政大学・関西学院大学・立命館アジア太平洋大学
などが挙げられます。
今後も国際基準となる国際バカロレア資格を利用した入試は今後も増加することが予想されます。
WASCとは?
WASCとは、「The Western Association of Schools and Colleges」の略で、アメリカのカリフォルニア州に本部があります。
対象は幼児から高校3年生(12年生という表現もあります)までの学校、大学までを認証する教育組織です。
国際バカロレアと異なる点は、教育プログラムである国際バカロレアに対し、WASCは「学校認定」となります。
WASC認定は、学校全体がふさわしい教育を実施できているのかを監査し、認定する機関ということが言えます。
そもそも飛び級ができるのか?
さて、ここまで、今回緩和される留学生や帰国子女の制度について紹介していきましたが、そもそも日本人の学生が日本で飛び級をすることができるのでしょうか。
高卒認定を使った飛び級とは
高卒認定は16歳以上であれば受験ができます。
そのため、通常高校3年生を卒業する18歳よりも早く、高卒認定資格を得ることができます。
では、高校を卒業しないで、高卒認定資格をとれば、飛び級ができるのではないか!と思うかもしれません。
残念ながら、日本の大学の多くは、受験資格の中の「18歳以上」という項目が含まれているため、18歳になる前に高卒認定資格を得ても大学受験をすることができません。
18歳を迎え、高校を卒業せず、高卒認定資格を得て、大学に入学した場合、飛び級と表現することもありますが、イメージとする飛び級とは少し離れているかもしれません。
17歳以下で大学に入学するケースが限定的ではありますが、存在します。
ほとんどの大学では、受験資格の中に「18歳以上」という項目がありますが、この項目がない大学に入学することです。
実際に、スキージャンプで活躍する高梨沙羅さんは、飛び入学をし、日本体育大学に入学をしたことで話題になりました。
この飛び入学を実施している大学は以下のとおりです。
千葉大学(国立)文学部、理学部、工学部
会津大学(公立)コンピュータ理工学部
名城大学(私立)理工学部
日本体育大学(私立)体育学部
エリザベト音楽大学(私立)音楽学部
東京藝術大学(国立)音楽学部
京都大学(国立)医学部
「飛び入学」は、スポーツや優秀な学力があり、特定の大学へ入学する限定的なルートになります。
まとめ
現状では、日本の高校生が飛び級して大学生になるのは非常に限定されています。
今回の留学生、帰国子女を対象とした、年齢制限の緩和は、今後日本の高校生に対する飛び級の制度にも少なからず影響を与えるかもしれません。
早く次のステップに進みたい気持ちがある人もいるかもしれませんが、その学業だけでなく、その年齢で得られる貴重な体験も大切にしてほしいですね。